広島駅で出会った小田蘭とアメリカ人のジェームズ。彼は地図を見つめて困っていたところ、蘭が助け、二人の交流が始まる。蘭はジェームズを原爆ドームや平和公園に案内し、広島の歴史と平和への願いを伝える。広島名物のお好み焼きを食べ、ジェームズは初めての味に感動。次に、宮島の厳島神社を訪れ、二人は自然と歴史の大切さに気づく。広島カープの試合を観戦し、蘭の熱烈な応援に引き込まれ、ジェームズも一緒に応援。その共有体験が二人の絆を深める。しかし、ジェームズの広島滞在は終わり、別れが訪れる。だが、それは新たな旅立ちの始まりでもあった。
広島駅で出会う二人
風が吹き抜ける広島駅。そこには、新たな出会いが待っていた。
「あの、すみません。ヒロシマエキはどっちデスカ?」
アメリカから来たばかりのジェームズは、カタコトの日本語で一生懸命に聞いてきた。
「あ、こっちですよ。」
と、近くにいた小田蘭が笑顔で答えた。
「ありがとう。ヒロシマに来たばかりで、まだ道がわからなくて…」
「そうなんですか。それなら、私が案内しますよ。」
蘭は、ジェームズに広島の魅力を伝えたいと思った。
それが二人の出会いだった。広島駅の風が、新たな物語の始まりを告げていた。
原爆ドームを見るジェームズ
「ここが、原爆ドーム……」
蘭の声は少し震えていた。
二人の目に映るのは、かつての悲劇を物語るドームの姿だった。
「すごい……でも、悲しい。」
ジェームズは、ドームを目の前に言葉を失った。
二人は言葉を交わさず、ただ黙って原爆ドームを見つめた。その後、蘭はジェームズを連れて平和公園へと向かった。
「ここは、平和を祈る場所なんです。」
蘭は、平和記念碑の前でそっと手を合わせた。
「平和を祈る……」
ジェームズも蘭の後に続き、手を合わせた。その瞬間、二人の間には言葉以上の何かが流れていた。
その後お腹もすいてきたので二人は、昼食は広島名物を食べることにした。
「ここが、広島名物のお好み焼き屋さんなんよ。」
蘭がジェームズを連れて来たのは、地元で人気のお好み焼き店だった。
「お好み焼き?それって何?」
ジェームズは興味津々で聞いた。
「それはね、野菜や肉、海鮮を鉄板で焼いた料理で、広島風は特に具だくさんで、ボリューム満点なんだよ。」
蘭が説明すると、ジェームズの目はキラキラと輝いていた。
そして、注文したお好み焼きが運ばれてくると、ジェームズは驚きの声をあげた。
広島風お好み焼き
「これがお好み焼き?すごい、美味しそう!」
「食べてみんさい!」
蘭が笑顔で言うと、ジェームズは一口食べて、目を見開いた。
「うわぁ、これは美味しい!」
その日、二人は美味しいお好み焼きとともに笑顔を分かち合った。広島の味を知ったジェームズは、さらにこの街が好きになったのだった。
「次は、宮島に行ってみない?」
蘭がジェームズに告げると
「宮島?行ってみたかったんだ!」
ジェームズは嬉しそうに言った。
「宮島はね、広島の海に浮かぶ美しい島なの。大鳥居が有名で、神秘的な雰囲気が漂ってるんよ。」
と、蘭が説明すると、ジェームズの目は輝いた。
そして、宮島へと足を運んだ二人。海に浮かぶ大鳥居を見た瞬間、ジェームズは息を呑んだ。
宮島の大鳥居を見るジェームズ
「これが宮島の大鳥居……すごい、美しい。」
その日、二人は宮島の神秘に触れ、さらに深い絆で結ばれた。広島の美しさを共有した二人の物語は、まだまだ続くのだった。
「広島と言えば、やっぱりカープよね!」
蘭がジェームズに告げると、彼は首を傾げた。
「カープ?それって何?」
ジェームズが尋ねると、蘭はにっこりと笑った。
「それはね、広島のプロ野球チームのことで、広島県民にとって、カープは誇りであり、希望なんよ。」
蘭が説明すると、ジェームズの目は輝いた。
そして、2人はスタジアムへと足を運んだ。スタジアムに響く歓声、赤いユニフォームを身にまとった選手たち、そして、興奮に満ちた観客たち。その光景をジェームズは目の当たりにした。
一丸となったカープファンとスタジアム
「So exciting! ヤバいね」
ジェームズが叫ぶと蘭がうなずいた。
熱くなるジェームズ
「そう、これこそが広島の魂なんよ!」
ジェームズは,一致団結する空間を体験し、広島の情熱を肌で感じた。
さらにこの街を愛するようになったのだった。
「ジェームズ、広島はどうだった?」
蘭が聞くと、
「とても素晴らしかったよ。広島の人々の暖かさ、美味しい食事、美しい風景、そしてカープの試合。すべてが忘れられない思い出だ。」
ジェームズの言葉に、蘭も嬉しそうに頷いた。
「そう言ってくれて嬉しい。でも、これでお別れだね…」
蘭の言葉に、ジェームズは少し寂しそうに、
「そうだね。でも、これは新たな旅立ちだと思うよ。」
ジェームズが言うと、蘭は笑顔で頷いた。
「そうだね、新たな旅立ち。ジェームズ、また広島に来てね。」
蘭が言うと、ジェームズはにっこりと笑い、
「もちろんだよ。また会おう、蘭。」
ジェームズが言うと、蘭はうなずいた。
その日、二人は別れを告げ、ジェームズは新たな旅へ向かった。しかし、彼の心には広島の思い出と蘭の笑顔がしっかりと刻まれていた。
その後、ジェームズは世界中旅を続けるがどこに行っても広島の思い出と蘭の笑顔が忘れられずにいた。
蘭はジェームズとの経験を機にもっとたくさんの外国人に広島の魅力を伝えたいと思い、ガイドになるという新しい目標ができた。
夢を叶えた蘭
そして、数年後。ジェームズは再び広島を訪れ、蘭と再会します。
「蘭、会いたかった。」
「おかえり。ジェームズ待ってたよ。」
再開した二人
再会した二人は、かつての思い出を振り返りながら、新たな広島での思い出を作り始めました。
終わり。